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甲状腺ホルモンと月経不順・無排卵の関係|妊活中に知っておくべき注意点

妊娠を望んでいるのに「生理が不規則」「排卵がうまくいかない」「基礎体温が二層にならない」といった悩みを抱えていませんか?

こうした症状の背景にあるかもしれないのが、甲状腺ホルモンの異常です。甲状腺は小さな臓器ですが、その機能異常は排卵障害や着床不全、月経異常と密接に関係しており、不妊治療において見逃してはならない要因のひとつです。

本記事では、最新の医学研究・ホルモン生理学の視点に加え、東洋医学と鍼灸によるアプローチ方法も交えながら、甲状腺と月経・排卵の関係について詳しく解説します。


1. 甲状腺ホルモンと月経周期の生理学的関係

■ 甲状腺ホルモンの働き

甲状腺ホルモン(T3・T4)は、全身の代謝を調節し、細胞の活性、エネルギー消費、体温維持、ホルモンの受容体感受性などに影響を与えます。

このホルモンの分泌は、**視床下部-下垂体-甲状腺軸(HPT軸)**によって調整されています。

  • 視床下部 → TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)を分泌
  • 下垂体前葉 → TSH(甲状腺刺激ホルモン)を分泌
  • 甲状腺 → T3・T4を分泌

このT3・T4が**性腺軸(HPG軸)**に間接的に影響を与えることが、不妊や月経異常のメカニズムにつながります。



■ ホルモンバランスとの相互作用

甲状腺ホルモンは、以下のような女性ホルモンとの密接な関係を持っています。

甲状腺ホルモンの異常は、排卵に必要な性腺ホルモンの分泌リズムに深く関わります!



2. 甲状腺異常と月経・排卵障害の臨床的関係

■ 甲状腺機能低下症(橋本病など)

  • 月経過多・無排卵・高プロラクチン血症を引き起こす
  • TSHの慢性的な上昇により、プロラクチンが間接的に高まり、排卵障害が起こる
  • 子宮内膜が肥厚し、着床不全や流産の原因になることも

※ 参考:日本内分泌学会ガイドライン(2023年)
「TSH値が4.0μIU/mLを超える場合、妊娠前にチラーヂンS(レボチロキシン)投与を検討」



■ 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)

  • 月経周期の短縮、過少月経、無月経が見られる
  • 高温期が安定せず、黄体機能不全となるケースも
  • 代謝亢進により、卵胞の成熟が早まり、排卵の質が低下する

※ 橋本病とバセドウ病はどちらも自己免疫性疾患であり、**自己抗体(抗TPO抗体、抗Tg抗体)**が高いほど不育症のリスクも高くなる。



3. 妊活中に注意すべきTSH値と臨床判断

■ 推奨されるTSHの目安(妊娠希望の場合)



4. 東洋医学からみた月経・排卵障害と甲状腺

東洋医学では、甲状腺機能は「腎」「肝」「脾」のバランスと密接に関連しています。これらの失調が、月経不順や無排卵につながるとされます。

■ 腎虚(じんきょ)

  • ホルモン不足タイプ
  • 月経遅延、無排卵、低温期が長い
  • 甲状腺機能低下症に一致する体質
  • 【鍼灸ポイント】:腎兪、命門、太渓、関元

■ 肝鬱気滞(かんうつきたい)

  • ストレス性の排卵障害
  • 月経遅れや無月経、排卵痛がある
  • TSH上昇の原因として「肝気の停滞」が関与するケースも
  • 【鍼灸ポイント】:太衝、肝兪、内関、百会

■ 脾気虚(ひききょ)

  • 栄養吸収・ホルモン合成力の低下
  • 月経不順、体温が安定しない、基礎体温がガタガタ
  • 【鍼灸ポイント】:足三里、中脘、三陰交、気海


5. 鍼灸による自律神経・内分泌調整

鍼灸は、以下のような複数の作用機序により、甲状腺と生殖機能のバランス調整に働きかけることができます。

■ 自律神経の安定化

  • 鍼灸によって交感神経と副交感神経のバランスを整えることで、視床下部-下垂体-甲状腺(HPT)軸の働きがスムーズに
  • ストレスが排卵障害・TSH上昇の引き金になっている場合、内関、神門、百会などを使って精神の安定を図る

■ 免疫調整作用

  • 鍼灸にはTh1/Th2バランスの調整作用があり、自己免疫性疾患の緩和にも寄与するとされている
  • 甲状腺自己抗体(抗TPO・抗Tg)陽性で不妊が続く場合にも、脾腎の補強と肝気の疎通を促す治療を並行する

■ 基礎体温と月経周期の正常化

  • 鍼灸施術を数ヶ月継続することで、基礎体温の二相性が出てくるケースが多数報告されている
  • 排卵誘発剤の副作用軽減や、黄体機能の安定化にも有用



6. エビデンスに基づく鍼灸治療の有効性

■ 臨床研究からの報告

  • Zhangら(2016年):鍼灸によってTSH値が有意に低下し、月経周期が改善された
  • Chao et al.(2019年):多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)における月経異常と排卵障害に対して、鍼灸がGnRH分泌リズムの調整に寄与したと報告


■ 実際の臨床例(鍼灸院でのケース)

  • 月経が3ヶ月止まっていた20代女性(TSH 4.8):鍼灸と漢方で体質改善後、2ヶ月で自然排卵・妊娠
  • 無排卵で基礎体温が平坦だった30代女性:腎虚タイプとしてアプローチし、4ヶ月で体温の二相性が回復



甲状腺ホルモンは、月経や排卵をコントロールする性ホルモンの働きと密接に関係しており、その異常があると妊娠は極めて難しくなることがあります。


■ 甲状腺機能に影響を与える生活習慣





■ こんな症状はありませんか?セルフチェック!

  • 基礎体温が35℃台
  • 月経周期が不規則または無月経
  • 皮膚の乾燥、疲れやすさ、むくみ
  • 情緒不安定、不眠、集中力低下
  • 妊活を1年以上続けていて結果が出ない

このような場合は、**甲状腺ホルモンの検査(TSH、FT3、FT4)**を受けること、鍼灸や整体で身体の内側のケアを並行することをおすすめします。

妊活中の女性にとって、甲状腺機能の確認は必須項目です。
そして、もし異常があった場合でも、鍼灸を通じて体質改善やホルモンバランスの調整を図ることが可能です。

あなたの身体にあった「妊娠しやすい体質」を整えるために、東洋医学の視点と鍼灸の力を、ぜひ取り入れてみてください。



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